【閉店】ESMERALDAでイタリア人を超えるかっこよさを手に入れろ!【自由が丘】

※エズメラルダは2019年7月に閉店いたしました。

以下備忘録的な記事となっております。

 

ESMERALDA(エズメラルダ)意味:エメラルドを表すスペイン語およびポルトガル語

 

いつものように帰宅途中に電車に揺られながらスマホをチェックしてみると、問合わせが入っている。

エズメラルダというブティックの店長さんからの取材依頼だった。ル・ディコさんに次いで、今回も洋服関係の取材ということで次の土曜日にお伺いすることに・・・

最近問い合わせが増えたことで、自分の知らないお店・場所へ足を運ぶ機会が増えた。エズメラルダさんはどんなお店なのだろうか?

詳細レポートをさせていただこう。

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目次

ESMERALDA(エズメラルダ)レポート

エズメラルダお店の中

午前10時

いつものように遅刻しそうな中、なんとか約束の時間にお店へ着いた。ガラス越しに覗いてみると私にコンタクトしてくれたであろう店長の鈴木さんらしき女性の姿が見える。

鈴木さんは20年間スペインでバイイングの仕事をしていたようで、その辺もお伺いできるのは楽しみだった。

お店は私の住む場所からもかなり近いところにあり、以前から知っていたのだが入るのは初めてだった。LABIが出来てからは、こっち方面に足を伸ばす人も増えたので知る人ぞ知るみたいな感じかな。

完全に勘違いしていたのが、今日お話をお伺いするのは鈴木さんだけではなくオーナーも同席されるということだった。少し緊張する・・・

 

菅沼社長参上

お店の奥から一人の男性が現れた。

一瞬パンチのきいた風貌に圧倒されつつも、ご挨拶させていただき話を始めることにした。強面ではないにせよ、お店の外から覗いた際にこのオヤジが一人でいる空間に入っていく勇気があるひとがどれだけいるだろうか・・・

頭の中に色々なイメージが浮かんでくる、モヤモヤを取り払いながらもとりあえず取材を開始しよう。

 

強すぎるキャラクターの菅沼社長

強すぎるキャラクターの菅沼社長

菅沼社長は大学卒業後に地元愛知のGMS婦人服売り場で5年間販売の仕事に携わっていた。なぜGMSの婦人服売り場なのか?

自分でブティックを経営することを最終ゴールにしていたため、現場で働くことを希望していたとのこと。

そのために婦人服売り場で大量のマーケティングデータを取ることが目的だった。デパートという選択肢もあったが、大卒は内勤スタートというのがダメだったらしい。

バブル全盛期の当時は個人でどうにかするにも最低取引額が1千万以上ないと、相手をしてくれない。今の時代ならば小ロッドでの生産にも対応してくれるところもあるだろうが、当時は個人でどうにかできるレベルの話ではなかった。

 

34歳の時にイタリアへ行くことを決意し単身フィレンツェへ渡った。当時のイタリアものはべらぼうに高かったため、だったら本場に行けば安いよねというシンプルな発想。

なぜフィレンツェなのかと言えばイタリアの中心だったからという理由、イタリアは洋服の起源でもあり2500年の歴史がある、ブランドもあるし、モーダもある、そしてクラシックもある。

 

話を聞けば聞くほど菅沼社長の発想はシンプル、実際にそう思っても行動に移せる人間はそうはいない。完全に菅沼ワールドに引き込まれてしまった・・・

 

コンセプトはイタリア人に負けないオシャレな日本人を作ること

エズメラルダのレディース服

フィレンツェに着いて菅沼社長が感じたのは、本場イタリア人のカッコ良さ。

本人の言葉で言うところの『当時フィレンツェにいた奴等がべらぼうにかっこよかった、完全にじじいにも負けていた』という部分に集約されていた。

汚い言葉と受け止めないでほしい。自分の頭を鈍器で殴られたような衝撃を受けた際に、人間は本質的にこのような言葉が出てくるものだと思う。

おそらくそれ位大きな、人生に一度あるかないかの衝撃が菅沼社長を襲ったんだと理解した。

当時のイタリア人の恰好はタイトなデニムに少し丈が短めのジャケットという、最近流行になったスタイルだった。当時の日本はタック入りのパンツが流行ってる時なので、イタリアからその恰好で帰った菅沼社長は奇異な目で見られたそう。

イタリアではいくら流行っていようが、自分に似合わないモノは着ない。基本的にはクラシックをベースにしているし、外野の言葉に惑わされるということがない。

反対に日本はマスメディアに踊らされている。服を消費させるため、次々に新しい流行を作り消費を誘導する。みんな安心したいからその流行に乗るみたいな。

そんな風潮が嫌だったという政治的な話ではなく、世界一カッコ良いと思ったイタリア人のスタイルを日本に持ってきたいというのが純粋な思いだったんだと感じた。

 

色合わせの重要性

カラーパターンの一覧表

なんでイタリア人はかっこいいのか?

理由が分からなかった。だから街頭でスナップ写真を撮り続けた。これはエズメラルダのホームページにも多数載せられている。

撮り溜めた写真をグループ分けしていった時に一つのことに気づく。それは色合わせが抜群に上手だったということ。

これに気付くのにかれこれ10年の歳月が過ぎていた。代表的なカラーとしてブラウンの存在を例にして話を進めよう。

私も洋服が好きで、高校時代から今までに散々散財してきた口ではあるがブラウンのものに手を出したことがない。その理由はなんとなく年配の人が着るものというイメージが強すぎるから

ブラウンはイタリアではベースカラーとして用いられる色であり、その組み合わせで考えると150通りくらいの色に合わせることが出来る

 

ネイビーのシャツに赤紫のストールを合わせたもの

反対に日本で人気のあるネイビー(私も大好き)はイタリア発祥のカラー、合わせられる色が少ないため合わせようとすると赤等に限られてしまう。

夏に人気のホワイト系のパンツにネイビーのトップというパターンが王道だと思うが、意外に合わせられる色は少ない。

少ない洋服での着回しを考えるならば、今回教えてもらったブラウンなどを取り入れるのが幅を広げるという意味でも一番早い。イタリア人の平均所得は12万くらいと結構低い。

だから着回しの利く色が必要になり、ブラウンが生まれてきたわけだ。

私はサイジング命なところがあり、生地質やサイズには誰よりもこだわりを見せるが、社長ほど色合いについて考えたことは一度もなかった。

だからとても新鮮だったし、イタリア人のおしゃれなところがカラーにあるというのもすんなりと納得が出来た。

ネイビーを買うのであればブラックの方が着回しが利くからとオススメされた。確かにそうだよね・・・

 

3万通りほどあるカラーパターン

http://www.esmeralda.jp/

色合わせはホームページ上でも公開しているので参考になる。社長はこのカラーパターンを作るために10年の歳月を費やし、イタリア人の友人の協力を得ながら完成させている。

身体がボロボロになり日本に帰国したのが50歳になった時ということだが、この組み合わせを作りあげた功績は大きいだろう。

社長の話を聞いていると私も熱くなって話を被せてしまうことが多かった。人生を『楽しんでる』という感覚が伝わってくる。お店のレポートというよりは菅沼社長の紹介のようになってしまった・・・

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生産拠点をスペインへ

スペインのグラサレマにある工場

スペインのグラサレマにある工場

『ブリットポップは死んだ』

じゃないけれど、日本同様にイタリアも製造拠点を海外に移すようになる。これによって職人のレベルも低下してしまいエズメラルダも生産拠点をスペインに移すことになった。

スペインのグラサレマというところに工場があるらしく、その周りには羊しかいないとのこと。完全にアルプスの少女ハイジの世界であり、もやはぺーターしかいない。

そんなグラサレマであるが、製造レベルは今のイタリアよりも高くここで作られるニットなどはじゃぶじゃぶと水洗いができるレベル

 

産まれたばかりの羊のメリノウールで作られたおくるみ

産まれたばかりのメリノ種の羊の産毛で作られたおくるみ

じゃぶじゃぶと水洗いができるなんて個人的に考えられなかった。いままで買ったものはすべて手洗いかクリーニング店へ持っていくのが常識だったし。本当にそんな手荒な扱いをしても平気なのか。

 

社長も現地で同様のことを聞いたところ「雨が降った後の羊の毛が縮むのを見たことが無い」という回答。シンプルだが確かにそうかと思わせるし、自信の表れとも捉えられる。

 

メリノウールの中でも、特に産まれて間もない羊の『産毛』から作られたおくるみは極上の肌触りを体感できるレベルだ。

なんせ正真正銘の一回しか取れないバージンウールだけに、他のカシミヤでは絶対に体感できない優しい肌触りが実現できている。

大切な友人に子供が産まれたとき、いつもお世話になっているおじいちゃんやおばあちゃんへのプレゼントなどに最適な商品だ。

 

某ブランドと同様のスペイン工場で生産されたレザージャケット

某ブランドと同様のスペイン工場で生産されたレザージャケット

某ブランドの生産も請け負っている工場で製造されるレザージャケットは軽くて風合いもイタリアっぽい。

色合いの美しさもそうだけど、このクラスのレザージャケットをデパートで購入するとゆうに10万以上の価格帯になってしまう。

そんなレザージャケットの価格は¥69,000、クラシックなスタイルのウールジャケットは¥39,000という値頃感。

是非一度手に取って見てみてほしい。というよりも菅沼社長にコーディネートを丸投げしてもいいかもしれない。

 

あなたに合ったコーディネートを提案してくれる

菅沼社長にジャケットとストールをコーデしてもらったyu-hiro

菅沼社長にジャケットとストールをコーデしてもらったyu-hiro

菅沼社長と話していくうちに分かったことがある。本当の意味でお客さんのために提案してくれる販売員は少ないということ。

基本的に「大変似合っております」的なスタンスで販売することがほとんどだと思う。これがまったく似合わなかった時に『似合わない』とはっきり言える販売員がどれだけいるだろうか?

エズメラルダが他のお店と違うところは、似合わないモノは似合わないというし、持っているモノと同じものを買わせてくれない

イタリアでは基本的に自分が持ってないものを足していく。ネイビーを持っていたら次にはブラウンのように、無いものを足していくという文化。

同じものを購入するときは、そのものがダメになってしまったとき。だから私がネイビーのジャケットを持っているのにネイビーのジャケットを買おうとしても買わせてくれない。

だっておまえネイビーもってるじゃん!

こうなるわけだ。

すべてがすべてダメと言われることもないと思うが、基本的には持ってるものとは違うものを薦められるだろう。

 

フィッシャーマンズジャケットを羽織る菅沼社長

これは、このおじさんに礼儀が無いわけではなく本場イタリアの地で培ってきた自信から来るもの。お客さんに提案する立場である以上、知識も経験も豊富でなければ良い提案なんて出来ないわけだ。菅沼社長曰く

 

全員敵だと思ってる。まわりは全員おれを嫌いだと思っている。だから客に嫌われてもいい。

 

ここまで行きつくと潔ぎよすぎてかける言葉が見つからない。

 

似合いますよという販売なんてしたくない。その代わり、客にこれじゃないなんて言わせない。

持ってるものは買ってほしくない。ヨーロッパのブティックはみんなそうらしく、何十足と出してお客の対応をする。それが当たり前なのがイタリアだ。

自分の仕事に誇りとプライドを持っているからこそ客に媚びない。本当の意味でお客さんに似合うものを提案できる実力があるからできることだ。

 

自由が丘店は13年前にオープンして、5年前から自分でお店に立つようになった。ヨーロッパにいた頃は人を雇って遠隔操作していたが、お客さんと戦える販売員は中々見つからないらしい。

 

まとめ

鈴木さんの娘さん(撮影当時14歳)

鈴木さんの娘さん(撮影当時14歳)

店奥にある白黒の美しい女性の画像があるが、この女性は鈴木さんの娘さんらしい。

さすがスペイン人とのハーフだけあって美しいなと。現在17歳でモデルとして活躍しているのかと思えば、現在はスペインで生活しているとのこと。

ここまで散々とむさくるしいオヤジの話をしてきた手前、最後はやはり美しいもので閉めたいところ。

 

ただ、菅沼社長の人柄に完全にやられてしまった私は、色々と考えさせられる部分が多く収穫しかない一日だった。

あえてここでは書かないが、自分と向き合うことについて考えさせられた一日だった。

 

良い意味でも悪い意味でも、このお店は菅沼社長のキャラクターによって成り立っていると言ってよい。だからその接客が自分には受け入れられないと思えばお店にいかなければ良いだけ。

でも今まで飛び込んだことがないからこそ、飛び込んでみるのも自分という人間の幅を広げるという大きな視点で考えれば良い経験になるはず。

怖いもの見たさと、ファッション感を語り合いたい、純粋にコーディネートを提案してほしい人等、一度訪れてみればその人柄に何かを感じることができることは確かだと思う。

アクセス

エズメラルダ自由が丘

住所:〒152-0034

   東京都目黒区緑が丘2-16-17

 

電話:03-3723-7755

営業時間:11:00~19:00

定休日:水曜日

HP:http://www.esmeralda.jp/

業態:洋服販売店

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