今日はすぐに終わります・・・
去年の年末、正確な日付で言うと2016年12月29日
家族サービスを強要された私は、前日の仕事納めのドンチャン騒ぎを楽しみにしていたが、早々に切り上げて翌日のために0時に就寝する。理由はディズニーシーに行くためだ。
そもそも、こんなクソ寒い季節に行かなくてもいいのに・・・5時半に起床して家族で舞浜へ。
今日はディズニーシーの中でも、一番の人気アトラクションであるトイストーリーマニアについて、しかもそのファストパスを取るまでという限定した話を紹介させていただこう。
トイストーリーマニアのファストパスは何分で入手できるか?
そもそも、この12月29日という日は混雑する日なのかどうなのか?
私はメチャクチャ寒いから混雑しないと勝手に解釈していたが、それは大きな間違いだった。
ディズニーシーに着き開園前の行列に驚く。ランドの入園口とは異なり幅が狭い分、ひとつの行列の塊が長くなるのは理解できるが、この朝7時30分と早い時間帯でこれだけの人間がディズニーシーに来ているということになる。
『あ~あ、今日は外れだ・・・』
わずかAM7:30にこの絶望的な判断をせざる負えなかった・・・
開園と同時にダッシュ!!
とりあえず開園と同時に私だけダッシュした。時間は8時30分、ディズニーシー内はすでに結構な混雑模様で私と同様に走る人も若干名いた。
おっさんで走っているのは私くらいか?恥ずかしいという気持ちよりも、まずはファストパスを取らないと家族に何を言われるかわからないという恐怖感の方が強かった。
走りながら頭の中で考えたことは『けっこう人が多いように感じるけど、実際はいつもより少ないのかも』と自分の都合の良いように解釈しなおす自分がいる。
ランドに比べてシーは湖がある分、人が通れる面積が圧倒的に少ない。だから人が多く見えるんだ、だから実際にはそんなに人はいないんだ・・・
都合の良い妄想をしながらダッシュするも、次の瞬間にその妄想が間違いであることがはっきりする光景に出くわす。
どこまで続くの?大行列
『なにこれ!? えっ! 全員並んでんの???』
目を疑う光景だった。
一体何人がこのファストパス獲得のために列を成しているのだろう?しかも、極寒を想定して久しぶりにダウンジャケットで来てはみるも、アホみたいに寒さの中では何の意味もなさない。
『心の中では止めてしまえ!!』
という声が聞こえてくる中、後ろを振り返ったとき・・・
私がいるすぐ後ろでロープで境界線が引かれた。
ということは、このロープ内にいる人間にはファストパス取得が保証されるということなのだろうか?
10年ぶりくらいの猛ダッシュをしたせいか、下半身に変なダルさを感じる。ダッシュした甲斐があった、自分の努力が報われた瞬間だと素直に感じたのと同時に子供たちやかみさんに罵られることは無くなったという安堵感が同時に去来する。
素直に良かった・・・
「このまま並んでも取得できるかは保証できません」
しばらくならんでいるとキャストのアナウンスが聞こえてくる。
「この行列に並んでいる人すべてがファストパスを取得できるとは限りません」
ガーン!
頭を鈍器で殴られたような、そりゃそうなるわなという心の中の嫌な不安は的中する。これだけの大行列すべての人がファストパスを取得できるとは限らない。
一体何人並んでいるのか?ざっと数千人はいたんじゃなかろうか?
このまま並んだ方が良いのか、それとも諦めて別のアトラクションのファストパスを取得した方がいいのか?
とにかく寒すぎて正常に頭が働かず、どうすればいいのか分からない。とりあえずかみさんに電話をかける、意見を聞くしか今の私にはできなかった。
「とりあえずならんでたら?」
冷たいなーとかは思わなかった。前回かみさんが義理の両親と来たときにも並ぶのを諦めて戻ったらえらいブーイングを受けたと話していた。
チャンスが1%でもあるのであれば、それにかけるのが男というもの。よし!!このまま最後まで並ぼう。
果てしなき行列
正面をまっすぐに進みそこから左へ曲がるとトイストーリーマニアのアトラクション入口に到達する。
ここまですでに40分近く並んでおり、それでもまだこれだけの行列が続いているのか・・・
そもそもディズニーシーに来ること自体が8年ぶりなため、園内の地理関係がまったく分からない。ファストパスの発券機はどこにあるのかも、知らないため行列の後を追っていくことしかできなかった。
ファストパスを使用しなかった時の待ち時間は、9時過ぎの時点で「250分待ち」
時間に直せば4時間という途方もない待ち時間だ・・・まだこれでもましな方なのかもしれない。友人から聞いた情報では500分という話を聞いていたから。
あと少しの辛抱だ、何とかファストパスがゲットできますように。
やっとアトラクション入口のアーチをくぐるところまでやってきた。
時刻は間もなく9時20分を指すところ、約50分も並んだことになる。しかし混雑してんな、ディズニーシー。
こんなに人気があるのであれば、もっと収容できるように拡張工事をするべきだ。なんで一つのアトラクションにこんなに並ばないといけないのか。
段々腹が立ってくる。凍てつくような寒さと朝早く起きたことからの眠気と、朝食を食べてない空腹と、行列を抜けられないイラダチから精神的にイライラが募ってくる。
ファストパスの発券所が見えてきた!
今から取得して20時45分、なぜかスタンバイ時間は少し減って220分の表示だった。時間的にもう残り僅かのところまで発券が済んでしまっている・・・
間に合うのか?間に合わないのか? 間に合わないの???
周りの並んでいる人たちも私と似た心理状態に陥っているのか、この辺から少しづつ前へ前へという形で押し合う状態になってきた。
この辺に人間の業の深さが垣間見える。誰だって自分の家族・彼女・友人が大切なのだ。自分のところだけでも何とか手に入れたい。行列の隙を見ては右往左往する奴も出てくる。
蜘蛛の糸の話じゃないが、『我こそ先に』の心理がこの中の90%の人に働いていたように感じた。
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ロスタイムあり?
ついに21時の時間帯のみになってしまった。あと少しのところだったのに。
まわりの焦る表情が良く見える。あと何人分が残されているのか?
くっそー、新木場で乗り換えるときにギリギリの電車に乗れていれば・・・
恥ずかしがらずもう少し早い段階で猛ダッシュしていれば・・・
人間はこんな時に後悔の念に囚われるのかもしれない。
ん?21時5分??
なんとロスタイム突入ということか?ここまで並んだ人のための救済措置なのか?
閉園時間は22時だから、ここまで並んだ人をギリギリまで収容しようというディズニー側の配慮なのか?
何か取れるような気がしてきた!!
頼む、あと3枚だけ何とか残ってくれ!!!
21時20分の表示が見えてきた。
発券機はもう目の前、何とか間に合ってくれという思いからか、さらに押し合いは強くなってきた。
この押し合いに負けてはいけない。パワープレーで負けるほどまだ私も老いてはいないのだ。
踏ん張れ、あとわずかで手に入る。
あと少し、あと少しなのだ!!
発券機手前約3m、ここまでくればほぼ手中にしたのも同じ。
手に入れてしまえばこっちのもの。ドーハの悲劇ではないけれど、残り数十秒を我慢すればワールドカップに行ける。
そんな日本代表の気持ちが痛いほど分かる瞬間だった。
周りのみんなも少し安堵と不安が入り混じった見たことのない表情を見せている。完全に消耗戦、でもそれもあとわずか。
たのむーーーーー!!!
アナウンス
「ファストパス発券は終了しましたーーーーーー」
終わった・・・
苦し紛れにあげたセンタリングはキレイな弧を描き、そのままゴールネットに吸い寄せられていった・・・
まわりから聞こえるブーイングの嵐、夢の国にきてこのような現実に向き合わされるとは・・・
ここまでの所要時間は約70分、目の前の状況に頭が整理つかず。家族になんと言ったらいいのだろうか?
まとめ
ファストパスに並んでゲットできない場合でも、特に救済措置は何もない。
これが夢の国の現実的な対処だ。子供たちは諦めがつかないのか帰りにこのアトラクションの場所に行きたいということだったので連れていくことにした。
でも、ファストパスを持ってないので当然アトラクションに乗ることはできない・・・
現実とはこんなもので、すべてがうまく行くとは限らない。時には見極めも必要だし、叶わないこともある。
子供たちには、そんな現実をしっかりと心に焼き付け強く育ってもらいたいと願うことしか私にはできなかった・・・
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