ブロカントは自由が丘を代表するお店のひとつ。
フレンチシャビーを思わせる、一見ただのガラクタのようなアンティーク雑貨がメイン商材。
何よりも場所が分かりずらく、お店というよりも一軒家の佇まい。
この日は息子を自転車の後部座席に座らせ、ケーキコールを浴びながら美味しいケーキショップを探しているところだった。
古びたものこそ美しい、路地裏にある雑貨店BROCANTE(ブロカント)
フラッグ
何回も通ったことがある道だった。何も考えずにいつもであれば通り過ぎてしまうところ。
ただ、この日に限ってはチャリンコを漕ぎながらケーキ屋を探していたせいか、一瞬目に入るものが頭の中に残った。
『BROCANTE』
ブロカンテ?聞いたことがない言葉を見ながら通り過ぎるところだが、なぜか頭の片隅に残ったこのBROCANTEという言葉。真っ黒のフラッグに白文字で書かれた英字を見て、私はアパレルショップか何かかな?
なんて勝手に想像していた。自転車を停め、矢印がある方向へ歩みを進める。息子は昼寝でもしてくれるかなと思ったが元気が有り余っているようで、歩きながら何かの言葉を叫んでいた。
路地は普通に住宅街で突き当りは普通の一軒家だった。その横にはどこかで見たような、どこか趣のある建物が立っている。
ブリキのジョーロや、ボンモマンの裏辺りの雰囲気とまったく一緒の異空間。ちょうど同じタイミングで40代半ばくらいの女性が私の後からこのお店へ歩いていく。
一体何のお店なのだろうか?こんな場所にお店を出している辺りが自由が丘らしいのだが、今までまったく気付くこともなかっただけに興味をそそられるものがあった。
GARDEN DESIGN OFFICE
FRANCE ANTIQUE
この言葉を見たときに、やっと何のお店なのかイメージが出来てきた。フランスのアンティークな雑貨と、ガーデニングの提案をしてくれるお店なんだなと。
内容的はやはり、お店の雰囲気がブリキのジョーロと一致する部分が多かった。
花の種類に疎い私はこの良く見る種類の花の名前が分からない。小さいながらもキレイな花を咲かせている。
これからの季節が一番見せ時ということなのか、それとも今の段階が見ごろでこれからは散ってしまうだけなのか。そんなことを考えながらお店の外の木や花を眺めていた。
私と同時にお店についた女性は、外にある花たちを色々と物色している。何か目的を持って買いに来たお客さんなのね。
私達とは異なり、当然ブロカントの存在は知っての来店だ。
どこからお店に入っていいのかが分からず、お店の周りを何度も行き来してしまった。
私がオタオタしていると女性が声を掛けてくれて、『そこが入口ですよ』案内をしてくれた。普通に黒い枠のトビラが入口だったよう。
ひと言お礼を言ってお店の中に入ることにした。
このお店の作り自体が、フランスの田舎の古びた建物をイメージして建てられているのだろう。
案内された通り、ドアノブを右に回すと扉が開きお店の中に入ることが出来た。
お店の雰囲気
お店の中に一歩足を踏み入れると、そこにはアンティークなアイテムが敷き詰められた空間となっていた。
この独特の雰囲気は、セレクトされているアイテムの一つ一つが特徴的で調和が取れているから全体としてマッチしているのだ。
どこかに一つでもセレクトしたものが合わないと、変な違和感しか残らない。
フランスの田舎をモチーフにしているのが伝わってくる異空間だった。
こんな古びた棚はそうそう見ることが出来ないと思う。
ただの汚い棚と思うか、味のあるインテリアと感じるかは人によって様々だと思うが私としては、この使い込まれた雰囲気に色々なものを想像させるものの一つだと感じた。
どこかの国で実際に何十年も使われた棚。
その使っていた人間のことを想いながら見ていくと、新しいものには無い味が出ていてそれがこの雰囲気を作っているんだなと。
お店の中は真っ白い空間。その中に使い込まれたアンティークインテリアが配置されている。
路地裏の一軒家の中にこんな場所があるなんて、誰も想像もしないと思う。自由が丘という街だからこそというのもあるのかもしれない。
自然な太陽の光が店内に差し込む姿は、それだけで映画の1シーンのような趣を感じることができると思う。
店内はBGM等は一切かかっておらず、無音の空間。何も味付けをされずに、でもそれは目の前のものを変に意識付けせずダイレクトに感じさせたいから?
美しいガラクタ
これがBROCANTEの語源に当たる言葉ということ。
この棚のように使い込まれることで味が出る。この味が出るまでには長い時間、それこそ何十年もの間、この棚を使い続けている人がいるわけだ。
アンティーク加工といったものではなく、自然に経年劣化したからこその風合いにその生活者の背景を思い浮かべざる負えない。
どんな生活をしていたのか? どんな人が使っていたのか? 結婚してたのか、子供はいたのか?
こんなに古びた形状になるまで使い込むというのは、当然愛着があって大事にされてきたということもあるんだろうけど、その場所から無くなることの方が違和感になるくらい生活に溶け込んでしまったんじゃないだろうか。
道具を大切にする、使い続ける、それが味になってさらに魅力が増す。ガラクタという表現を使っているが、私も基本的に同じものを使い続ける傾向がありアンティークの良さというのもこういった部分にあるのだと改めて思い返す時間となった。
それぞれが一点もので同じものなど他にはない。
世界を旅してこのようなアンティークなものを見つけているのかな?
このようなアンティークインテリアを欲している人には、この空間は堪らない場所になると思う。
調べてみると、基本的には店内にあるアンティークインテリア・雑貨の販売を行ってはいるのだが、メインになるのは『外の空間』に係わるもの。
これは庭と限定しているのではなく、住宅の外周り部分からベランダの一部、そこまでスペースがない余白部分でもその場所を有効活用して居心地の良い空間を造ってくれる。
深い建築の知識と植物の知識を組み合わせて、トータルで提案してもらうこともできるし、一部についてを相談することもできる。
施工例はWEB上でも色々と確認できるし、こんな空間になるのであれば是非お願いしたいと思わせる素敵なものだった。
私も家を建てるときには是非にもお願いしたいと思った・・・ いつになるのやら。。。
まとめ
自分の家をこんなデザインにできたら毎日が楽しいだろうな・・・
純粋にそんな風に思える心地よい場所だった。お店の一部分(外観)に植物を使ったところはあったが、実際に自分の生活にも緑を取り入れてみたい。
我が家にはそんな場所は一切ないのだが、わずかなわずかな余白でも問題ないのだろうか?
まずは小さな緑を感じることから始めてみようと思う。
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