寿々木屋商店を知っているだろうか・・・
自由が丘にある鶏肉専門店である。
鶏肉を購入しに来る人が主というわけではなく、どちらかというと焼鳥の小売りがメインという気がしないでもない。
焼鳥を食べに自由が丘に来るという選択肢自体が無さそうだし、ましてや寿々木屋商店を目指して自由が丘に行こうと思う人もいないだろう。
ただ、自由が丘で焼鳥といえばココしかない。
いや焼鳥といえばココが日本一なのではないか?
それくらい美味い。これは断言できる。
七味亭などの店舗も有名ではあるが、私はやはり寿々木屋商店の焼鳥が食べたいのだ!!
寿々木屋商店との出会い
きっかけ
ここを知ったきっかけは、またもや義理の母の影響だ。
3大中華料理といい、今回の焼鳥といい、私が美食の道を歩くきっかけを与えてくれたのは、ほぼすべて義理の母の影響が大きい。
夕飯にお呼ばれされたときに、初めて寿々木屋商店の焼鳥を口にした。
おどろきだった・・・
こんなに美味い焼鳥自体が存在することに・・・
ただ、そのときはどこにこのお店があって、誰がこんな美味いもんを作っているのかは知らなかった。
食べる機会が増えるにつれ、この焼鳥を作っている人間が気になった。
同時に店舗はどこにあるのか?実際に店舗に行って自分でメニューを選びたかった。
そんなこんな思いながら、また月日が過ぎていった。
大将と遭遇
すっかり日常に戻って焼鳥のことなんて忘れていた。
朝から晩まで仕事が続く。
そんな日常を過ごすうちに数ヶ月が過ぎていた。ある日、義理の母より食事に誘われた。
寿司を予定していたようだが、間髪入れず私はかみさんに「寿々木の焼鳥にしてくれ!!」と要望、聞き入れてもらった。
お呼ばれ当日、家族4人でかみさんの実家へいく途中に八百屋があり、ヘルメットを被った一人のオヤジが立っていた。
そこの八百屋は近所の飲食店にも野菜を卸している、この辺じゃ有名なお店だ。
おもむろにかみさんが
「あのヘルメットかぶった人が寿々木のオヤジだよ」
こんなところで遭遇するとは思ってなかったため、やや意表を突かれた。
オヤジは年齢が読みづらい顔立ちだった。
推定60代なのか、すでに70を超えてるのか?
二言三言を八百屋と話したあとにHONDAのカブで走り去っていった・・・
この日も焼鳥は美味かった。
鳥もも肉と唐揚げが初登場しており、これがまたびっくりするくらい美味かった。
はじめてのお遣い
また数ヶ月の月日が過ぎた。
10月のまだ残暑厳しい季節だった。
子供達を連れて、かみさんの実家を訪れた際に夕食をご馳走してもらうことになった。
私は自ら挙手し、寿々木の焼鳥が食べたいということと、「私が買いに行くのでお店を教えて欲しい!!」と願い出た。
お店は徒歩でも3分程の場所にあり、私が住む家からも近い距離にあることが分かった。
場所は亀谷万年堂の横の横。
引っ越してきた当初はほとんど通ることのない道だったので、まったくのノーマークだった。
店構えを見れば、大体想像がつく。
この店はうまいだろうなと直感で感じた。
時間は3時だったからか、店前で焼いている様子はなくシャッターも半分閉まった状態だった。
「すいませーん・・・」
恐るおそる声を掛けたら、中から女性が出てきて丁寧に対応してくれた。
焼き始めるのは夕方らしく、注文だけして後で取りに行くことにした。
家族経営なのか、店内には3人の人が仕込みをしていた。
大将の奥さんらしき人・その娘さんらしき人(注文を対応してくれた方)・大将の義兄弟(想像)の3人で鶏肉を1本づつ串に挟み込んでいく。
物凄い本数を仕込んでいた。
これだけの数量を手作業でやるのは想像を超える作業だと思った。
取り合えず受取にいくのは5時なので、自由が丘を散歩して時間を潰すことにした。
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夕方のお店の光景
焼鳥を受け取りに行くと、すでに人だかりが出来ていた。
さすがに夕飯前ということもあり、狭い店前には人が多くて中に入れない。
かき分けて中に入り、
「○○です」
と伝えると、すでに袋に入って別に取り分けしてくれたものを、大将の奥様らしき人が手渡してくれた。
シンプルな白い紙袋の中には焼きあがった焼鳥達が透明のプラスチック容器に丁寧にパッキングされ、ゴムで留められている。
大将はご機嫌に、店前で鳥を焼きまくり、注文する人それぞれに話しかけてる様子だった。
推定にはなるが40年以上は鶏肉を焼いているのだろう、顔が鳥によく似ていた。
炭火で焼いた焼鳥は香ばしい匂いを放ち、食を誘発させる。おそらく16時半~18時くらいまでは、この店の半径10m辺りまでこの匂いが漂うことになるのだろう。
ここを通る人は、吸い寄せられるように店前で立ち止まる。
しかもこの自由通りは、車の通行量もそこそこあり、歩道はかなり狭いため人だかりが出来ると通行に支障をきたす。
ここがそのボトルネックになっているのは容易に想像が出来た。
大将に話しかけてみたが、忙しいからかあまり相手にしてもらえなかった。
老舗は一見さんには厳しいのだろうか。
今後長い付き合いになりそうなので、ちょいちょい話しかけてみよう。
まとめ
それ以降も頻繁に通うことで大将とは普通の世間話が出来るくらいの関係が築けた。
私はハツを食べたことがなく、それ何ですか?的なカジュアルなノリで聞いてみたところ、
「食ってみるか?」という感じで1本くれた。
普通に美味かった。
こんな昔ながらのお店も自由が丘には存在する。
自由が丘に移り住むまでは圏外だった焼鳥が、私の好きなものランキングベスト3の中に入るようになったのは、紛れもなく寿々木屋商店が要因の100%だ。
そんな寿々木屋商店のまとめを以下に記載する。
場所:自由が丘駅正面口から自由が丘デパートを超え、ヒカリ街を突き抜け、自由通りの亀谷万年堂の横の横
営業時間:推定15時~18時30分くらい
※18時を超えるとねぎはさみ、ししとうはさみ、つくね位しか残ってない。
営業年数:推定40年以上
価格:140~220円
とりもも、唐揚げは別。スーパーと同価格たいかもしれないが、圧倒的にここの店の方が美味い。
デパ地下で1本200円のものより遥かにうまい。
野菜系の椎茸、ピーマンは200円オーバー。手羽が200円、他は150円くらい
大将の性格:一見話しづらそうだが、気さくな感じ。40年以上焼き続けているプライドなのかちょいちょい自慢が入る。
オススメ:かわ、はつ、なんこつ、レバ、手羽、砂肝、どれを食べても美味しい。
さすがに鶏肉専門店だけあって肉の弾力がハンパない。
ぷりぷりした身は火を通しすぎることなく、少し赤みが残っている部分もあるが、とても美味しい。
少し濃い目の味付けなため、食べた後は猛烈に喉が渇く。
私は比較的、「塩派」なのだが、ここは何よりもツケタレが素晴らしい。
40年以上も継ぎ足しされたであろうこのタレについては、選び抜かれた肉と良く調和している。
裏技になるが、このたれを他の料理に応用しても最高なのだ。
いづれにせよ、ここを通る機会があるのであれば、一度立ち寄ってみることを強烈にオススメする。
惜しまれつつも閉店
自由が丘の地で約60年も営業を継続した寿々木屋商店。
惜しまれつつも、2019年4月末をもって営業終了とのこと。
週末になると食べたくなる寿々木屋商店の焼鳥が、もう二度と食べられなくなる。
閉店してから1ヶ月以上経過するが、今でもたまにこのお店の焼き鳥が食べたくなる。
後継者がいないとか、色々と問題があったんだろうけど最後は感謝の気持ちしかないね。
60年間本当にありがとうございました!
アクセス
住所:〒152-0035
東京都目黒区自由が丘1-15-13
電話番号:03-3717-5127
営業時間:10:00~19:00
定 休 日:水曜日
業態:精肉店(鶏肉)、焼鳥
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